難しい勝利

ヴェルディは4-0でギラヴァンツ北九州に大勝、という字面にしたいところですが、まあ、そういう話でもなかったよね、などと思ってみたり。
純粋に勝って嬉しい、という面と同時に、「ああ、やっぱサッカーって怖いな」と思ったり。
色々と難しい試合ではありました。

前半からギラヴァンツのボールの動かし方が良かったのと、それに対してヴェルディがややプレスで突っ込み過ぎる感じがしてて、距離感が合わずにセカンドボールが拾いづらい展開。攻めるにしても、このところ「縦を突こう」という意識付けが強すぎたせいか、どうもそちらに急ぎすぎる傾向が出て、ボールの失い方がもったいないな、と思いながら見ていました。相手のプレスに焦れてか、ちょっと単調な攻めに。先発した善朗と小林が、まあ若者らしく非常にファイトするわけですけれど、そこでちょっとバランスが崩れ気味にも感じて、良し悪しかなぁ、などと。まあ、ルーズにやるよりはずっと良いんですけど、その意識の強さが小林の退場を招いたんだとすれば、もったいないな、という感じ。
ただギラヴァンツは攻めの組み立てにリズムの良さはあるものの、フィニッシュには強みを感じないというところもあって、「セットプレーとミドルだけケアしていけば、ある程度は抑えられるかな」とは思っていました。ゴール近くでも土屋と深津、佐伯がよく状況をコントロールしていて、まあ、大きいミスが出なければ我慢できそう、という感じ。
後半早々に数的不利となった事で、もちろんクリアになった部分というのもあったんですけど、それでも平繁の鋭さと菊岡の技術がなければ、勝ち点1を持って帰るのも容易ではなかったろうな、とは思います。
いやー、ベンチに菊岡がいて良かったなぁ、と。
菊岡がスペースを察知してタイミングよく進出し、ボールを受けて出して、というリズムでやや間延びしてきたギラヴァンツのスペースを押し広げ、そこから井上のゴールが生まれたというのもそうだし、そこでやや焦った敵DFの裏をうまく突いたアシストもあったし、という。
加えてやはり平繁の、縦へのアクションを主体とした動きでしっかりと自分の持ち味を出した事と、ゴール前での落ち着きがハットトリックにつながったなと。本当にたいしたもんだな、と思いました。
10人で4点取るというのは、なかなかある話ではないと思うので、ひとつ勢いにしたいところですね。

もうひとつ、今日感じていたところとして、「10年」という時間は、やっぱり短いように思ってたけど、やっぱり長いんだよな、と。特に柴崎と森の2人に。
森は攻めの部分ではそれほど大きな見せ場はなかったですけど、やや不安定な主審のジャッジにもあまり苛立たず、守備面ではギラヴァンツのアタッカー陣を1対1の局面ではほぼ封じてみせて、風格すら感じたり。とにかく相手に速さがあっても動じない。重心をしっかり落とし、コンタクトでも体幹がぶれない。「ブラジル人に突っかけられるだけでオタオタしてたあのユースケがねぇ」と。もう30か。
柴崎も、終盤にプレースキックがブレたりしたのは残念でしたけど、しっかりした内容のプレー。特に前半、CKからのハイボールをパンチングで逃げずにカブリ気味になりながらもしっかりキャッチしたのはしびれましたね。ああ、10年かけてここまで来たかと。ようやく、体の大きさに見合ったプレーが身についたんだなぁ、と。練習は嘘をつかないな、と。
例えば自分がプロのスポーツ選手だったとする。毎日毎日、トレーニングをする。レギュラー選手と同等に、あるいはそれ以上にする。でもレギュラーとしての出場機会は巡ってこない。10年の間、移籍を繰り返すものの控え選手のままで、出場試合数は数えるほど。その中に勝利すらない。果たしてその状況で続けられるのか、と自分に問うてみて、やっぱ柴崎はすげえな、とそのように思うわけです。

杉本は面白い存在ですが、まだまだこれから。若い選手が自分を出そうと頑張り、ベテランも自分の仕事をこなすだけでなく、若い選手を引っ張っていってる、その状況が伝わってきてるので、ここからチームとして良い回転をしてってもらいたいなと思いました。
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2018年11月

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